特に代謝の落ちた高齢者の場合、かゆみや湿疹(しっしん)に悩まされやすい。弱った皮膚を爪でかきむしる人も多い。
高齢者介護施設では秋ごろから、利用者の肌に保湿剤を塗ったり、感染症対策と合わせて施設内の湿度を下げないように加湿器を導入したりする施設が目立つ。
広島市佐伯区のデイサービスセンター石内慈光園では、看護師が入浴時に肌の状態をチェック。肌が乾燥しがちな利用者には、お風呂上がりに市販の保湿剤を塗っている。担当者は「カサカサなどの不快感から解放されるので利用者にも好評です」と話す。
口や鼻の内部も外気に触れると乾燥しやすい。口腔(こうくう)内が冷えて乾燥すると、風邪を引く原因にもなる。
東邦大学医学部教授の小林寅てつ(いんてつ)(てつの字は吉吉)さんは、乾燥対策としてマスク利用を勧める。「冷たい外気が直接入らず、呼気で満たすため、口やのどの内部の湿度が保たれる。せきが出やすい人やぜんそく患者など、のどが弱い人には有効」と語る。
最近のマスクは、花粉症やウイルス対策として上部に金属が入ったタイプが登場。金属を鼻の形状に合わせて変形させて皮膚とのすき間が生じないようにすると、保湿効果は高いという。
花粉やウイルス対策の場合、マスクの外側に花粉やウイルスが付着するため、使い捨てが推奨されている。保湿効果を期待するなら「息苦しくない限り、使い続けて構わない」(小林さん)という。ただし、インフルエンザ予防としてのマスクは万能ではないとされ、過信は禁物だ。