新型インフルエンザの流行が本格化し、10月にも第1波のピークが来ることが予想されている。感染してもほとんどの人は軽症のまま回復するとみられるが、妊婦や乳幼児のほか、呼吸器系の病気や糖尿病などの持病のある人は、重症化する恐れがある。自分や家族に症状が出たら、どう行動すべきなのか。対処法をまとめた。
この時期に38度前後の熱が出たり、頭痛やのどの痛みなどを覚えたら、まずは新型インフルエンザへの感染を疑う必要がある。8月中旬までは、県内各地の県立病院などに設けられた「発熱外来」で診察を受けることになっていたが、現在はすべての病院で受診できるようになっている。
ただ、受診の際には、ほかの人にうつさないよう配慮が必要だ。事前に医療機関へ電話し、来院時間の指示に従う。大きな病院よりも、近くのかかりつけ医を選びたい。どこへ行ったら良いか分からない場合は、最寄りの保健所に問い合わせれば紹介してくれる。
今の流行状況では、簡易検査で「A型」と判定されれば、新型インフルエンザの可能性が高い。当初は、A型判定の患者に遺伝子検査を行って、新型かどうかを特定していた。しかし、治療法が季節性インフルエンザと変わらないため、現在は、学校や職場での集団感染の場合などにしか遺伝子検査は行われない。
感染が確認されると、タミフルやリレンザなどウイルスの増殖を抑える抗インフルエンザ薬が処方される。
家族への対策を
新型インフルエンザにかかった時はどうすればよいのか。岩手医大の桜井滋・感染症対策室長は「腎臓病や心臓病、糖尿病、ぜんそくなどの基礎疾患がなく、症状も軽ければ、自宅療養が基本」と説明する。
妊婦や乳幼児のほかに、持病もないという人については、症状が微熱程度で頭痛などもなければ、常備薬の解熱剤や総合感冒薬などを飲んで安静にし、経過を見ていれば良い。自宅療養の際は、家族への感染防止も大切になる。部屋に余裕があれば、患者の寝室を分け、マスクを着用してもらい飛沫(ひまつ)感染を防ぐ。看病する家族もマスクが必要。家族全員でうがいや手洗いを励行する。トイレのドアノブや手すり、スイッチなどの自宅の共用部分は、消毒液をしみこませたペーパータオルなどでこまめにふき取るのも効果的だ。
新型インフルエンザは、ほとんどの人が免疫を持っていないため、感染力が強い。厚生労働省は「外出するのは、発症から1週間程度して、症状がなくなってから」と呼びかけている。
基礎疾患がある人、妊婦や小さな子どもは重症になる危険性がある。発症時の対応について事前に主治医やかかりつけ医と相談しておくことが大切だ。